紅茶の歴史
海上貿易が盛んになった17世紀、中国からヨーロッパに「万病に効く東洋の秘薬」としてお茶(緑茶)が伝わり、18世紀にイギリスの貴族社会で当時貴重だったお茶に、同じく貴重な砂糖を入れて毎日飲むという「贅沢」な習慣が広まっていきました。ウーロン茶系の茶葉が好まれ、嗜好にあわせて発酵を進めるうちに紅茶が誕生したと言われています。
18世紀後半、イギリスから始まった産業革命の経済発展で人々の生活は変化し貴族のものだった紅茶は一般の人々にも広まっていきました。19世紀にはイギリスの植民地だったインドやスリランカでの茶葉の栽培に成功し、お茶として広まった中国茶が紅茶として広く浸透していきました。
紅茶の産地
紅茶の茶葉は世界中で作られ、その土地の自然環境や栽培・製造方法の違いなどによって、それぞれに個性があります。
インド
紅茶の歴史にも大きく紐づく世界第一位の生産量、消費量をほこります。
代表的な茶葉はダージリン、アッサム、ニルギリ。
ダージリンには春先に摘まれる「ファーストフラッシュ」と初夏に摘まれる「セカンドフラッシュ」があり、同じ茶葉でも採れる季節によって味わいが変わる茶葉です。
スリランカ
インド南東の島国で「セイロンティー」として有名。セイロンティーはスリランカ産紅茶の総称で、セイロンはスリランカの旧国名ですので、国名が名付けられた茶葉となります。
代表的な茶葉はティンブラ、ウバ、ヌワラエリヤ
中国
紅茶のルーツとなる茶、発祥の国です。中国国内では紅茶ではなく釜炒り緑茶が中心です。
代表的な茶葉はキーマン
ケニア
世界第一位の茶輸出国です。茶葉の産地という概念はなく「ケニア」という国名でひとくくりにされています。茶葉を丸く丸める加工を行うCTC製法がおなじみです。
北欧紅茶の5種類の紅茶と1種類の緑茶は、主にスリランカ、中国の上質な茶葉をベースに、世界中から厳選した天然のハーブ、フルーツや花々が贅沢に使用されています。
11月1日 紅茶の日
「紅茶の日」があるのをご存知でしたでしょうか?
1983年に日本紅茶協会によって定められた日です。由来は、「日本人が初めて紅茶を飲んだ日」を記念した日ですが、その「日本人が初めて紅茶を飲んだ日」というのは日本が鎖国をしていた1791年のことでした。伊勢国白子(現三重県鈴鹿市)の港を拠点とした運輸船の船頭だった大黒屋光太夫は、航海中に海難事故でロシアに漂流してしまい、永く帰国の許可が得られず辛苦の生活を送るなかで、ロシアの上流社会で普及していたでお茶会に招かれ飲んだ紅茶が「日本人が初めて飲んだ紅茶」となりました。
紅茶の製造
紅茶の製造は大きく分類して5工程
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工程1:萎凋
摘み取った茶葉を薄く広げ、15〜20時間陰干しにし茶葉に含まれる水分を取り除き、香り成分を出やすくします。一般的にはこの工程で水分は30〜40%の水分が蒸発します。
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工程2:揉捻
茶葉に圧力をかけて揉みこみ、葉の組織細胞をくだいてカテキン類の酸化発酵をうながします。
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工程3:発酵
20〜30℃(品種によって変わります)で、湿度90%に近い発酵室で数時間寝かせます。酸化酵素の働きでカテキン類は酸化し、葉は緑色から紅茶特有な鮮やかな赤褐色に変化します。この工程でカテキン特有の苦味・渋味は減り、香り味が形成されていきます。
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工程4:乾燥・選別
発酵が進んだところで紅茶は乾燥機にかけられ、水分が3〜5%になるまで乾燥させられます。この段階で酵素の働きは止まり、荒茶ができあがります。荒茶から茎や余分なものを取り除きます。
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工程5:ブレンド
各産地の茶葉や季節/年によって微妙に変化する茶葉から味や香り、量や種類をかえてバランスを調整し安定した1つの味を作り上げます。
ブレンダー
ブレンダーという言葉・存在はご存知ですか?
世界中の茶葉を鑑定・テイスティングし、その茶葉を配合し、1つのブレンドを作り上げること。そして年月や天候、土壌で変わる茶葉に対し、同じブレンドの味に仕上げを行います。茶葉は農作物ですから機械のようにつねに同じ茶葉が取れるわけではなく、つねに同じ味になるようブレンダーが茶葉を配合しています。
紅茶の国・英国ではブレンダーによって作られるブレンド紅茶は英国の芸術と呼ばれるほど素晴らしいものとされています。北欧紅茶のブレンダーであるバーノン・モーリス氏もスリランカで生まれ、20代から30代にかけてはブレンド技術をさらに磨くためにイギリスへ渡り稀代のブレンダーとして才能を開花させました。
北欧紅茶ブレンダーのバーノン・モーリス氏の奇跡