クラッカーのようなパン、「クネッケブロード」と北欧風オープンサンド
輸入食品店でも人気の「クリスプ・ブレッド」。ライ麦の生地にシードや穀類が混ぜ込まれ、健康的な食品としても人気があります。スウェーデンでは「クネッケブロード」と呼ばれ、保存食としても親しまれていました。
今回はそんな「クネッケブロード」と、それを使ったオープンサンドのレシピをご紹介いたします。
強靭な穀物・ライ麦
北欧の伝統食品やレシピを調べているととたびたび登場する食材がいくつかあります。そんな定番食材の一つに「ライ麦粉」があります。主な用途は生地を作るパイ料理やパン類です。
北欧は痩せた土地が多く、また、気候も寒冷なため、作物の栽培には適さない環境でした。ライ麦はそんな過酷な環境にも耐え、また強酸性・アルカリ性、どちらの土壌でも生育するなど、作物としてとても強靭なために重宝されたのです。
長い歴史の中では「貧者の食物」とされたり、高級とされていた小麦の生産量増加に押される形で生産量が激減してしまった時期もありましたが、現在はその栄養価や食物繊維量が再評価され、再び注目を集めている穀物です。
今回ご紹介する「クネッケブロード」は、元々はそんなライ麦のみで作られていました。
保存食としてのクネッケブロード
日本では輸入食品店に行かないと手に入らないクネッケブロードですが、スウェーデンでは非常に身近な食糧です。85%の世帯で消費されているといわれ、日本人にとっての白米のような存在であることが伺えます。
商品としてのクネッケブロードが登場したのは19世紀の半ばですが、家庭で作られてきた歴史は1000年以上も遡ることができます。一説にはヴァイキングが航海中の主食として乾パンのように食べていたとも言われ、北欧全体で古くから食べられてきました。
クネッケブロードは、乾燥した状態であれば非常に長期間の保存が可能なため、北欧では保存食としても重宝されています。
春、雪解けの季節に水車を利用してライ麦の粉を挽き、ネズミや虫によって害される前に焼き上げ、作物が収穫できなくなる冬の間には貴重な主食として食べられていました。
元々は円形で、中央に穴のあいたドーナツのような形で焼き上げ、竿に通して台所に吊るして保管をしていました。
今回は四角く焼き上げるクネッケブロードと、クネッケブロードを使ったオープンサンドイッチのアイディアをご紹介いたします。
クネッケブロードのレシピ
今回は北欧紅茶の「ロイヤルセーデルブレンド」を加えて焼き上げるアレンジでご紹介いたします。シードとライ麦だけで焼き上げるよりも香り高く、単体でお召し上がりいただいても美味しいレシピに仕上げました。
材料
・ライ麦粉 200g
・薄力粉 60g
・ベーキングパウダー 小さじ1と1/2
・ミックスシード 180g
・オートミール
・ごま
・フラックスシード
・ひまわりの種
・南瓜の種 …など
・水 170cc
・オリーブオイル 50cc
・北欧紅茶「ロイヤルセーデルブレンド」 10g
手順
1. 粉類は全て合わせてふるっておき、ロイヤルセーデルブレンドの茶葉はすり鉢や指で少し崩しておく。オーブンを210℃に余熱を開始する。
2. ロイヤルセーデルブレンド茶葉以外の材料を全て混ぜる。全て混ざる程度まで。長く混ぜすぎないようにしてください。
3. 全てが混ざったらロイヤルセーデルブレンドの茶葉を入れ、軽く全体を混ぜ合わせて生地をひとまとめにする。
4. 生地を5〜8mm程度の厚みに伸ばし、包丁でカットして形を整える。
5. 天板に並べ、210度に余熱したオーブンで20分焼く。
6. しっかりと冷ましてから密閉容器に入れ、保存する。
オープンサンドのアイディア
【ベースクリーム】
・サワークリーム
・タイム(ドライ)
・塩
【エッグ&シュリンプ】
・茹で卵
・ボイルしたエビ
【オレンジ&サーモン】
・スモークサーモン
・オレンジ
【ベーコン&トマト】
・ベーコン
・トマト
【仕上げ】
・タイム
・ディル
・ブラックペッパー
・ピンクペッパー
・粉チーズ
・塩
オープンサンドイッチの作り方は実に簡単です。ベースクリームを塗り、好みの具材を載せるだけ。
今回は仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを回しがけ、フレッシュハーブとチーズを散らし、ブラックペッパーと塩で味を整えました。
ベースクリームにはサワークリームをチョイスしていますが、こちらはお好みでクリームチーズやホイップクリーム、あるいはマヨネーズや粒マスタードを塗っても美味しいですよ。
お皿に並べたら、ナイフとフォークでいただくのが北欧流です。
クネッケブロード、オープンサンドの魅力
オープンサンドイッチは、今回ご紹介したもの以外でも自由な具材をのせてお楽しみいただけます。
このレシピではクネッケブロードに北欧紅茶の「ロイヤルセーデルブレンド」を使用しており、華やかながら主張し過ぎない香りがアクセントになっています。この香りを活かせる食材を選ぶのが美味しく楽しんでいただくポイントです。
海鮮や肉類を載せるのであれば、スモークやグリル、軽くマリネしたものなど、油分がきつ過ぎない加工のものを使うと、ロイヤルセーデルの香りとバランスを取りやすいです。
クネッケブロードの魅力は、シーンを選ばずに食べることができる万能性、持ち歩きやすい携帯性です。
少ししっかり目の食事にしたいときはオープンサンドに、小腹がすいたときはジャムや蜂蜜を塗ってちょっとしたおやつに。小さめに割って、カナッペにしても可愛らしいです。
また、クネッケブロードは保存食なので、比較的長期の保存が可能です。一度にたくさん焼いてしまえば、食べたい時に手軽に使えます。日本は湿気が多いので、シリカゲルなどの乾燥剤と一緒に、密閉容器で保存してくださいね。
満足感ある朝のひとときを
クネッケブロードの素材としても使用している、北欧紅茶の「ロイヤルセーデルブレンド」は、甘い香りが特徴の、贅沢感がある緑茶ベースのお茶です。
ティータイムにゆっくりとお楽しみいただくのももちろん素敵ですが、是非、朝食の時にお試しください。私たち日本人の舌にも馴染みのある緑茶の渋みと、心地よい香りが1日の始まりを華やかに彩ってくれますよ。
今回ご紹介したクリスプブレッドのオープンサンドイッチとの相性も抜群なので、朝食にぜひお試しください。
まとめ
北欧の長い歴史の中、ずっと愛されてきたクネッケブロード。保存食としての実績を持ちつつ、健康志向が高まる現代にあわせたアレンジが加えられて、世界各国に広まっています。
今回ご紹介したレシピはセーデルブレンドの香りとシード類をメインに組み立てましたが、粉と水の配分に気をつければお好きなようにアレンジが可能です。ドライフルーツなどを混ぜても美味しいですよ。
作り慣れたら是非、「我が家流のクネッケブロード」を追求してみてくださいね。
Profileこのレシピを考えた人
菅原 まりこ
湘南エリアのカフェ勤務調理師。
過去には多国籍料理店に勤務し、メニュー開発や調理指導を行っていました。世界の様々な食材を扱って、様々な異国料理を作成しています。
料理の楽しさや新しい食材の使い方を発信すべく、ライターとして活動しています。
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