「ハッセルバックポテト」など、北欧のじゃがいもレシピ3選
北欧料理を作ろうと思うと、付け合わせに「ゆでたじゃがいも」「マッシュポテト」など、じゃがいもを使った副菜がよく登場します。
でも、ただ茹でるだけ、マッシュするだけではちょっと飽きちゃうこともありますよね。
今回はじゃがいもを使った北欧風の付け合わせを3種類ご紹介いたします。
北欧とじゃがいも
私たち日本人にも馴染み深い作物、じゃがいも。
じゃがいもは、ライ麦と同じく耐寒性が高く、痩せた土地でも育ち、踏み荒らしや鳥害の影響を受けづらく、さらには高い栄養価を持っているという、歴史的にも世界的にも重要な作物です。
この中でも「耐寒性の高さ」は農業に不向きであった北欧において劇的な変革をもたらしました。持ち込まれるとともに北欧の食文化を変えてしまうほどに広まったのだそうです。
長期間の保存が可能な作物であるということも、冬季の農業が著しく制限される北欧では重宝される一因となっています。
こうした背景から、北欧料理には頻繁に「じゃがいもの付け合わせ」や、じゃがいもがメインとなる料理が登場するのです。
スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー
長い冬が明け、夏の到来を喜ぶスウェーデンの6月。夏至のお祝いであるミッドサマーはそんな6月の下旬に行われます。クリスマスやイースターと並ぶスウェーデン国民にとってとても重要なお祝いの一つです。
元はキリスト教に由来した、洗礼者ヨハネを祝う祝祭だったのですが、今では宗教色が薄れ、長い冬の終わりと夏の訪れを祝う行事であるという認識になっています。
このミッドサマーの食事に欠かせないのが「新じゃが」です。
かつてはまだ育ちきっていない新じゃがを収穫して食べるのはとても無駄で贅沢なことであり、庶民には縁のない話だったと言います。しかし工業化と都市化が進んだ現代では、庶民にも愛される食材となっています。
ミッドサマーのお祝いでは、ディルと共にゆでた新じゃがいもを、ニシンの酢漬けなどと共に楽しむのが定番です。
このように北欧、スウェーデンでも愛されているじゃがいも。おもいきり手をかけて、凝ったじゃがいも料理を作るのも楽しいですが、今回はなるべく手軽に、メインのお料理の付け合わせとして作れるレシピを3種類、ご紹介致します。
じゃがいも料理のレシピ3選
今回ご紹介するじゃがいも料理は3種類。ハッセルバックポテト、ディルポテト、ブラウンポテトです。
ハッセルバックポテトは日本でも一時期人気が出たので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
タイム香るハッセルバックポテトのレシピ
スウェーデンの国民食と言われる、日本でも有名なハッセルバックポテト。「アコーディオンポテト」とも呼ばれ、可愛らしい外見が印象的です。外側のカリカリ食感と、中のホクホク食感のギャップをお楽しみ下さい!
ハッセルバックポテト 材料
じゃがいも 5個
オリーブオイル 少々
ベーコン 適量
粉チーズ 5g程度
塩 1つまみ
胡椒 少々
タイム 5本
ピンクペッパー 少々
ハッセルバックポテト 手順
1. じゃがいもはよく洗い、皮をつけたまま等間隔で深い切り込みを入れます。この切り込み感覚は狭ければ狭いほど焼き上がりの形が美しくなります。2〜5ミリ程度の幅が目安です。切り落としてしまわないよう、じゃがいもの横に割り箸などをおいて切ると切りやすいです。
2. じゃがいもを5分ほど水に晒し、引き揚げたらキッチンペーパーなどで水気をしっかりと拭き取ります。
3. オリーブオイルをじゃがいもにかけます。切り込みの間にもオイルが入るよう、手で開きながらかけていくと、焼き上がった時にこのひだが綺麗に開きます。
4. ベーコンを切り込みの間に挟みます。どの程度挟むかはお好みで。今回は少し少なめに挟みました。
5. 塩、胡椒を振り、天板に並べ、220度に余熱したオーブンで25分焼きます。じゃがいものサイズによって焼き時間が変わってくるので、取り出した後、竹串を挿してみてささらないようであれば、刺さるようになるまで再び焼いて下さい。
6. タイムをじゃがいもにのせ、5分焼いて香りを移します。
7. オーブンから取り出したじゃがいもを皿に並べ、粉チーズを振り、ピンクペッパーを散らして飾り、完成です。
お酒のお供にも!ディルポテトのレシピ
ミッドサマーでも定番のディルポテト。茹でてバターとディルで和えるレシピが主流ですが、今回は茹でるのではなく揚げ焼きで、ターメリックの苦味を利用して味を引き締めました。ディルとガーリックの香りで、お酒のお供にもお勧めです!
ディルポテト 材料
じゃがいも 5個
ディル 4〜5房
にんにく 2片
オリーブオイル 80cc
ターメリック 小さじ1
鷹の爪 1本
マスタードシード お好み
ディルポテト 手順
【下ごしらえ】
・じゃがいもは皮をよく洗い、食べやすい大きさにきっておきます。新じゃがの場合は丸ごとでも。時短をするのであれば、切ったじゃがいもをレンジで軽く火入れしておきます。
・にんにくはみじん切りにしておきます。
・鷹の爪も細く刻んでおきます。
・ディルは葉だけをとりわけ、荒く刻んでおきます。
1. フライパンにオリーブオイル、にんにく、ターメリック、マスタードシード、鷹の爪を入れ、弱火でじっくりと香りを出します。
2. 香りが出てきたらじゃがいもを入れ、蓋をして5〜10分程度弱火で鍋を振りながらじっくりと火を通します。
3. じゃがいもに火が通ったら蓋を開け、火を止めて刻んだディルを入れてしっかりと和えて下さい。
4. 最後に、塩で味を整えて完成です。
優しい甘さの付け合わせ、ブラウンポテトのレシピ
北欧でも定番の付け合わせ、ブラウンポテト(カラメルポテト)です!ローストポークやミートボールなど、肉料理を飾る添え物にお勧め。デンマークのクリスマス料理「フレスケスタイ」には、このポテトを添えることも多いですよ。
ブラウンポテト 材料
じゃがいも 5個
砂糖 50g
バター 25g
*写真ではてんさい糖を使用していますが、グラニュー糖や白砂糖、三温糖の方が作りやすいです。
ブラウンポテト 手順
1. じゃがいもの皮を剥き、食べやすい大きさに切って鍋で水から10分程度煮ます。新じゃがであれば切らなくても大丈夫です。手軽に済ませたい場合はレンジを利用しても構いません。食べられるくらいまで火を通して下さい。その後、鍋から引き揚げたら水気をよく拭き取ります。
2. フライパンに砂糖を入れ、弱火にかけてじっくりと溶かします。少し時間がかかりますが、焦って強火にすると焦げてしまうので、じっと弱火で、橋などで触らないようにしながら溶かして下さい。
3. 砂糖が溶け、薄く色づいたらバターを入れます。
4. バターが溶け、砂糖と混ざり合ってきたらじゃがいもを投入します。火は弱火のまま、じっくりと砂糖をじゃがいもに絡ませて下さい。
5. じゃがいもが飴色に染まったら完成です。
北欧のじゃがいも料理の魅力
北欧におけるじゃがいも料理は、私たちが普段あまり思いつかない素材や調理法で作られています。身近なじゃがいもで、新鮮な味わいを楽しめるというのが北欧のじゃがいも料理の魅力ですね。
北欧料理の付け合わせに、目にも楽しい色合いや見た目のものをチョイスしました。添え物で彩りが欲しい時に、ぜひお試し下さい。夕食の後一品!にもおすすめです。
北欧紅茶を添えて、楽しいひと時を
今回ご紹介したじゃがいも料理は、少し油や味の強いものばかりです。これらのじゃがいも料理と合わせるのにおすすめなのが、華やかな香りが特徴的な北欧紅茶の《セーデルブレンド》です。
ディルポテトなど香りが強いお料理もありますが、セーデルブレンドのすっきりとした飲み口や、華やかな香りとぶつかり合うこともなく、意外な相性の良さをお楽しみいただけます。
ぜひ、お食事とご一緒に《セーデルブレンド》をお楽しみ下さい。
まとめ
北欧料理に登場することの多い「じゃがいも」ですが、塩茹でやマッシュポテトだけではなく、様々な楽しみ方をご紹介しました。
調理時に少しコツがいるものもありますが、どれも美味しく、日々の食卓にも取り入れやすいレシピばかりです。
ちょっとだけ気分転換したい時などに、ぜひ試してみて下さい。
Profileこのレシピを考えた人
菅原 まりこ
湘南エリアのカフェ勤務調理師。
過去には多国籍料理店に勤務し、メニュー開発や調理指導を行っていました。世界の様々な食材を扱って、様々な異国料理を作成しています。
料理の楽しさや新しい食材の使い方を発信すべく、ライターとして活動しています。
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